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東京地方裁判所 平成5年(特わ)2412号 判決

本籍

東京都江戸川区南篠崎町四丁目二四〇番地一

住居

東京都江戸川区南篠崎町一丁目二七番一七号

会社役員

飛田菊男

昭和一八年一〇月二八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官富松茂大、弁護人矢田次男(主任)、同笹浪恒弘各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に処する。

未決勾留日数中二〇日を右懲役刑に算入する。

右罰金を完納することができないときは、金二五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都江戸川区南篠崎町一丁目二七番一七号に居住し、同所において「飛田商会」の名称で中古車販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、江戸川中古自動車販売協同組合からの分配金収入を除外する方法により所得を秘匿した上、昭和六三年分の実際総所得金額が三億〇一九二万八二〇〇円(別紙1修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成元年三月一四日、同区平井一丁目一六番一一号所在の所轄江戸川税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分のみなし法人損失金額が六七〇万三九五四円、総所得金額が一九八万八二〇〇円で、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると七万六〇三〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億七一四九万四九〇〇円と右申告税額との合計一億七一五七万〇九〇〇円(別紙2ほ脱税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書六通

一  中村孝夫(七通)、鞠子隆(三通)及び中井伸行の検察官に対する各供述調書謄本

一  飛田アサ子及び林勉の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の分配金収入調査書及び租税公課調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  押収してある所得税確定申告書一袋(平成六年押第二八六号の1)

(法令の適用)

一  罰条 所得税法二三八条一項(罰金刑の寡額については、刑法六条、一〇条により、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)、二項(情状による)

二  刑種の選択 懲役刑と罰金刑を併科

三  未決勾留日数の算入 刑法二一条

四  労役場留置 刑法一八条

五  刑の執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 懲役一年一〇月及び罰金五〇〇〇万円)

(裁判官 中里智美)

別紙1 修正損益計算書

〈省略〉

別紙2 ほ脱税額計算書

〈省略〉

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